柵瀨 茉莉子Mariko Sakurai
Profileプロフィール
1987年神奈川県横須賀市出身。2010年筑波大学芸術専門学群構成専攻クラフト領域(木工)卒業、2012年同大学院博士前期課程芸術専攻クラフト領域(木工)修了。神奈川県横浜市在住。
「縫う」ことを表現手段とし、主に木片や花びら、貝といった自然物を素材に制作。2020年横浜美術館による若手作家の展示企画New Artist Picksでは「柵瀨茉莉子展|いのちを縫う」を開催。VOCA展2022出品。第69回神奈川文化賞未来賞 受賞(2020)。
Statementステイトメント
母親代わりに育ててくれた祖母が縫うことを教えてくれました。 祖母の手もとを見ているのが好きでした。 糸は離れ離れのもの同士を繋いだり、縫ったところを目立たせたり、時には縫い手の強い 感情を内包します。 衣服や寝具を仕立てる労働の側面もありますし、戦時中の千人針のように口には出せない 祈りや願いを縫いに込めることもありました。 昔縫われたものや繕いされたものを直に見ると、縫い手はもう亡くなっているのに縫い込 まれたひと針ひと針が語りかけてきます。 縫う目的は様々ですが、ひとつひとつの縫い目には、縫い込まれた一瞬一瞬とその時の縫 い手の気持ちが刻まれていると信じています。 「今私が縫う」ということは、今を記しておこうという態度です。 作品がのこるかそうでないかはわかりませんが、過去があり未来がある時間軸の狭間で、 目には見えない今の一瞬が確かにあることを自分の手を使って記していきたいです。